クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
夕暮れ時になり、だいぶ日差しが落ちてきて肌寒く感じる。
公園で修吾さんと話し、私の心は温かくなったが赤ちゃんのことが心配になる。

「美波。寒くなってきただろう」

修吾さんはきていたジャケットを脱ぎ、私にかけてくれた。
久しぶりに彼の匂いに包まれ、ますます幸せな気持ちに包まれるが、ジャケットを脱いだ彼は半袖だ。

「修吾さん、寒くないですか?」

「大丈夫だよ。美波と子供が1番大事だから」

「でも私も修吾さんが大切です」

「そんなこと言われると家に連れて帰りたくなる。美波、戻ってきてくれないか」

彼の不安げな顔を見て私は頷いた。

「修吾さんにこんな一面があるって知れて良かった。いつものクールで仕事ができて完璧な修吾さんが可愛いってことに気がついちゃいましたけど、その上情けないところまで知れるなんて」

「情けないところを見せたくなかったよ」

「そんなことない! 私にはやっと修吾さんを近くに感じることができました。いつもの修吾さんじゃないところも知って、本当の家族なんじゃないですか?」

「そうか?」

「頼り甲斐のある旦那さんに変わりはないです。やっとこうして私の気持ちも伝えることができて嬉しいです」

私はつい先ほどまで離婚するつもりで気持ちが落ちていたのが嘘のように体調が良くなった。
立ち上がると修吾さんの前に立ち頭を下げた。

「勝手に出て行ってごめんなさい。心配かけてごめんなさい」

「今日美波とこうして話せて、お互いの誤解が解けてよかったよ。これからは本心だけでいくから、覚悟しておけよ」

そう言うと立ち上がり、私を抱っこした。子供を抱き上げるように持ち上げられ驚いたが、私を見上げてくる彼に私から顔を寄せ、唇を重ねた。
< 49 / 54 >

この作品をシェア

pagetop