こばとヴィレッジで夢を叶えましょう~ある革職人の恋のお話~

「春乃、お願い」
「はーい」

出来上がったランチプレートをカウンターに出すと、春乃がテーブルに運んでくれる。
ランチ時は小春が厨房に入っているが、ティータイムには春乃が厨房に入る。
忙しい時は村長さんもホールを手伝ってくれるので大助かりだ。

コハルノ食堂を始めて半年。
初めはまばらだったお客様も、最近は満席になることが増えた。
テイクアウトも人気があるし、常連客もそこそこついているので、経営は順調といえるだろう。

今日のランチのメニューは、白身魚の春巻き、かぼちゃのそぼろ煮、ごぼうサラダ。

テーブル席から「わぁ!美味しそう」と喜ぶ声が聞こえて、小春は胸をなでおろした。

時計が二時を回ると、ランチタイムは終了だ。
最後に一つ、テイクアウト用のお弁当を作ると、小春は「ちょっと行ってくるね」とエプロンを外した。

厨房は暑いので半袖のTシャツ一枚だが、さすがにその姿で外に出るとけっこう寒い。

「さむさむ」と言いながら、園舎の中を足早に歩いた。
目当ての部屋に着いて、引き戸の窓を軽く叩く。

「コハルノ食堂でーす」
引き戸をガラガラと開けながら声をかけた。

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