ブルーな春
そう思い、

「ねえ…!」

「あのさ!」

同時に言い出した。

「あ、葛城が先に言って」

きっと、これが最後のチャンスだと思った。

多分、岡村が先に何かを言ってしまえば、もう後がない気がして…。

「もしよかったら…連絡先教えて?」

それしか言えなかったけれど、

「俺も、同じこと言おうと思ってた」

私たちは微笑み合い、連絡先を交換した。

岡村はタクシーで送ってくれて、私が先に降りることに。

「じゃあ、またな。おやすみ」

「うん。またね。おやすみ」

おうむ返しみたいな会話だが、なんだか急速に距離が縮まった気がした。
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