遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
「鷹條さん……」
千智(ちさと)!」

 そう言って亜由美をベッドに降ろした鷹條は体重を掛けないようにそっと覆い被さる。
 その整った顔が近くて、亜由美はドキドキした。

「俺の名前。千智だよ」
「ち……さと、さん」
「ん?」

「どうしよう……すごく、好き……」
「うん。俺もすごく、好きだ」

 何度も何度も唇が重なる。
 緩く触れ合って、その度に鼓動が大きくなってゆくのを亜由美は感じた。

 強そうに見えても弱い亜由美も、大人びて見えても女子っぽい可愛いものが大好きな亜由美も鷹條は全部全部受け入れてくれる。

 この人の前で、背伸びしたり見栄張ったり、頑張りすぎなくていい。
 そう思うとまた涙が溢れてしまう。

「意外と泣き虫だよな?」
それとも本当はイヤ?
 そう聞かれて亜由美は慌てて首を横に振った。

「やじゃ……ない」
 唇が口元から頬、頬から耳元、そして首元へと徐々に降りてゆく。

 ブラウスのボタンが外されて胸元に手と唇が触れた。
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