十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
信じられないはずはない。
誰よりも知っている。
理玖の、繊細な指先を。
魔法のような手のひらを。

「言ったわね」

私は、スケッチと鉛筆を受け取って絵を描いてみた。
本当に数年ぶり……だった。
最初はぎこちない手つきだったが、だんだんと感覚を取り戻したのか、スラスラと描けるようになった。

そうして私は、デザインを仕上げた。
人間の指に星が宿り、その星が赤い糸として別の誰かに繋がる。
そんなストーリーをイメージして描いたもの。

これは、理玖が私に好きだと言ってくれた絵をモチーフにしたものだ。

「……これは責任重大だな」

理玖も、気づいたようだった。

「これが、1番良いと思ったの」
「そうだな」

理玖は、もう1度私の左薬指に触れる。
熱は、まだ残っている。

「約束する。絶対に、最高の星をお前にやる」
「……うん……」

きっと、何年……何十年経っても、この言葉を忘れることはないだろう。
そんな予感がした。
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