俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
ウェイターさんが一礼して、個室を出ていくのを見送ってから口を開く。
「金額そのままとか勿体ないじゃん!それに、こんな高いお店入ったことないんだけど!緊張するよ……」
「声デカ過ぎ。俺だってねーよ、多分」
「ねぇ、お金は大丈夫なの?やけに0の数が多いんだけど!」
「あぁ、アイツのお金だし。あんたが言ったんじゃん。このカードは遠慮無く使おうってさ」
春多くんがニヤーと口元を緩めて、財布から1枚のゴールドカードを取り出した。
「で、でも……」
「大丈夫だよ。この店、アイツに聞いたから」
「……え?それって」
それってどういう事?と聞き返そうとした時──。
さっきのウェイターさんが戻ってきて、カロリーの低い特別コースをおすすめしてくれた。
背中クッションとお腹を冷やさないように膝掛けも持ってきてくれて、私は完全におもてなし状態で嬉しくなってしまう。
春多くんとジュースで乾杯して、前菜から副菜、メインと順番に豪華な料理が次々に運ばれてくる。
「珠里さん、美味しい?」
「うん!!次は何がくるのかなー?」
「なんか子供みてーだな」
「春多くんだって美味しそうに食べてるじゃん!」
「うん。あんたと食べるとマジで何でも美味しいよ」