俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~




「あは、春多くんこれ何歳?すごい可愛いー」

「幼稚部の入学式だよ」

「ね、アルバムは寝室に置かない?可愛い春多くんがいつでも見られるし」

「えー、やだよ」

「あ、春多くんが抱いて寝てるぬいぐるみ、アレじゃない?」

「あぁ?」

「可愛いーー」

「……それは、4歳の誕生日に買って貰ったぬいぐるみでさー、」


あれから、春多くんはお母さんとの思い出を時々話してくれるようになった。辛い話もあるけど、私は春多くんが話してくれて嬉しいと感じる。


介護の勉強で少しだけかじったけど。障害の受容というものは簡単なものじゃなくて、受け入れられまで5段階くらいあるらしい。うろ覚えだけど。

障害の受容は本人だけでなくて、家族にもあるもので、近道なんてものはない。何度も何度も繰り返して、少しずつゆっくり受け止めていくしかないから。

春多くんの支えになってゆっくり寄り添ってあげたいな。




「あ、動いた!」

「マジで!?うわ、()っげー!!」


春多くんの手がお腹に触れると、またボコッと動いたのが分かるからお互いに顔を合わせて笑った。


新しい命を一緒に喜び合って、次に受け継いでいく。それは、本当に奇跡の出来事なのだと思う──。








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