俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
階段を上がってきた俊也さんが、困惑した表情で私たちに目を向けた。
「俊也さん、あの……違うの。この子、弟なんです!突然きちゃって……ね?」
「……ちっ、内科の香川かよ(小声」
話を合わせろと目で訴えながら、その子を肘でつついたのに。舌打ちと共にボソリと聞こえてきた小さな台詞。
「弟さん、はじめまして。珠里さんと同じ病院で働いてます。お姉さんにはいつもお世話になってるよ」
俊也さんが、にこりと爽やかな笑顔で男の子に手を差し出すから、聞こえてなかったんだろうけど。
この子、"内科医の香川"って確かに言った。嫌な予感しかしない。
「あの、俊也さん。今日は弟が来てるので違う日に……」
「いつも姉ちゃんから話 聞いてます!俊也さんはとっても素敵な方だってー」
"違う日にしませんか?"という私の言葉遮ったのは隣に立つ男の子だった。
「相手が医者なんて、玉の輿だわーって母ちゃんも最初は喜んでたんだけど。あ、もちろん姉ちゃんとは結婚考えてくれてるんですよね?」
「……はは、」
「ちょっと、やめてよ」
にっこりと言葉を続けていく男の子に、俊也さんは困ったように言葉を濁す。
「あー、でも。俊也さんって奥さんいるって聞いたんですけど、いつ別れてくれるんすか?」