俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
愛人の子供

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「これ、使っていいよ」

「……はぁ?」


ダイニングテーブルの上に置かれた、ゴールドタイプのクレジットカード。
真木ちゃんと別れてマンションへ戻り、「パートになろうかな」とぼやいたら、春多くんが「はい」と財布から取り出した。

まだリュックを背負ってるところを見ると、私より少し前に帰ってきたらしいけど。



「お金の心配してんだろ?こっから食費とか出していいよ。今日みたいに友達と飯食い行くのもさ」

「いやいやいや、そういう事じゃなくて…」

「妊娠してんだから、無理して力仕事することねぇだろ?」

「でも、これは春多くんじゃなくて親のお金でしょ?そんなの使えるわけないじゃん」


馬鹿なの?コイツ馬鹿なの??

信じらんない。親に私のこと報告してるか、してないか知らないけど。
これだから、親のスネかじって1人暮しさせて貰っているボンボン大学生は。

価値観の違いに唖然としていると、春多くんが面倒臭そうに息を吐いた。




「あんただってさ、この間まで香川が払ってるアパートに愛人として住みついてただろ?それと一緒だよ」

「それはっ……、」


"愛人"と言れてしまうと、返す言葉がないけど。私だって、好きで彼と不倫関係になったわけじゃないのに。



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