俺の子でいいよ。~不倫関係にある勤務先の医者との子か、一夜だけ関係を持った彼との子か分からない~
「倒れてそんな時間たってねーよ。多分、貧血じゃねーかな?」
「……貧…血?」
春多くんが血圧計を持って私の腕につけて測定をはじめる。
「よし、バイタルオッケー。ゆっくりでいーから動ける?ここの産婦人科行こ。子供が無事か、不安だろ?」
「あの、えっと、春多くん実習中だよね?どうなってるの?」
「なんつーか……、あれだ。変な話も聞こえてきたから。ついでに俺の子だって宣言しといたから。あんたは安心しな」
「え、だって……皆の前で、パパ宣言したの?」
休憩室で皆が話していた内容、春多くんの耳にも入っちゃったんだ。
学生で妊娠させたなんて世間体が悪いって、真木ちゃんに言ってたのに。
「指導医も呆れ半分で、これも勉強だーって言ってきてさ。あんたの付き添い任されて早退指示出されたんだけど、普通はねーわな。単位貰えなかったら責任取れよ」
「……う、うぅ」
ミチさんの事も、俊也さんの事も、自分がしてしまった取り返しのつかない過ちも。後悔と罪悪感と不安で押し潰されそうだけど。
春多くんが顔をくしゃりと崩して笑うから、私も半分泣きながら吹き出してしまった。