リセット〜君を救うために、何度でも〜
この世に産声を上げて誕生した人間は、小説のように、映画のように、様々な物語を描いていく。

人の人生の物語は、みんなそれぞれ違う。世紀の大発見をして世界中から注目を集める人もいれば、普通に働いて結婚をする平凡な人生を送る人もいる。だが、その物語の結末はみんな同じだ。人はやがて死を迎え、物語は幕を閉じる。

死は誰にでも訪れる。だけど、生きられる時間はみんな違う。生まれてすぐに消える命もあれば、百年近く生きる命もある。どうして、人はこんなにも不平等なんだろう。どうして、一緒に生きていたいと思った人は隣から消えてしまうんだろう。

八月三十日、学生は夏休み中の東京。俺、皆戸類(みなとるい)はアンティーク調の腕時計をつけて駅のホームへと向かう。どこかへ行く予定はない。だけど、どうしてもそこに行かなきゃいけないんだ。

駅にはたくさんの人がいて、それぞれの人生を歩んでいる。汗をかきながら家へと帰っていくサラリーマン、小さい子どもと手を繋いで歩く主婦、楽しそうに笑う女子高生グループに、慌てた様子で電話をかけている男性。
< 1 / 31 >

この作品をシェア

pagetop