弁護士は逃げる婚約者を離したくない
第3話*愛する君へ宣戦布告
「恵麻ちゃん」

翌日の昼時に宇大はやってきた。

そそくさと立ち去ろうとする私に、
「逃げんといて」

宇大はそう言って私の肩をつかんできた。

相変わらずのいい男だな、本当に顔がいいな。

心の中でツッコミを入れながら、肩をつかんでいる宇大をにらんだ。

「そないな熊泣いて逃げるような視線を向けんでも」

どんな視線だ。

時間も時間と言うこともあり、周りが何事かと言うように私たちに視線を向けている。

「恵麻ちゃん、1回だけちゃんと話をしよ」

「…はっ?」

そう言った宇大に訳がわからなくて、私は聞き返した。

今さら何を話せって言うんだ。

「何で婚約破棄をしたいのか、ちゃんと俺に説明して欲しいんや」

「…説明したら婚約破棄をしてくれるんですか?」

そう聞いた私に宇大は躊躇うように口を閉じた。
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