弁護士は逃げる婚約者を離したくない
その日の夜、仕事が終わった宇大がやってきた。

宇大が座っているテーブルに彼が頼んだアイスコーヒーを置くと、私は彼の向かい側の椅子に腰を下ろした。

時間は閉店に近いので、お客さんはそんなにいなかった。

「それで、恵麻ちゃんは何で僕と婚約破棄がしたいんどすか?」

アイスコーヒーを1口だけ飲んだ宇大は早速と言うように話を切り出してきた。

「南川さんにつきあっている人がいるからです」

私はその質問にすぐに答えた。

「僕につきおうてる人はいーひんのやけど」

そう言い返した宇大に、
「いるじゃないですか」

私はすぐに言い返した。

「水族館に出かけた時に話しかけてきた女の人がいましたよね?」

「ああ、蜜柑ちゃんのことか」

私の質問に宇大は呟いた。
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