弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「あのヤロー…」

悪態をついて風邪が治れば誰だって苦労しないと言うのはわかっている。

体温計をサイドテーブルに置いてある薬箱の中に片づけると、その近くに置いてあるスマートフォンを手に取った。

『風邪をひきました

また移したらいけないのでお見舞いにこなくていいです』

宇大にメッセージを送ると、スマートフォンの電源を切った。

冷蔵庫からよく冷えているスポーツドリンクを取り出すと、それに口をつけた。

半分ほど飲んだところで冷蔵庫に戻すと、ベッドのうえに腰を下ろした。

薬箱から熱冷まシートを取り出して、それを額に貼りつけるとふとんの中に入った。

さあ、寝よう。

目が覚めたら少しでもいいから熱が下がっていますように…と思いながら、私は目を閉じた。
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