弁護士は逃げる婚約者を離したくない
第7話*好きか嫌いかどうなのか
それから数日が経った。

「36度5分…よし、治った」

体温計に表示されていた自分の体温に、私は声をあげた。

熱も下がって、躰の調子もすっかりよくなった。

久しぶりの爽やかな目覚めである。

職場に休んじゃったことのお詫びとお礼を言って、
「そうだ、宇大に報告をしなきゃ」

そのことを思い出して、私はスマートフォンを手に取ると宇大にメッセージを送った。

『風邪が治りました

お世話をしてくれてありがとうございました』

まあ、こんなのでいいか。

他に送りたいことは特に思い浮かばないし、こんなのでいいか。

「さて、支度をしよう」

私はベッドから出ると、仕事に行くための準備を始めた。
< 70 / 82 >

この作品をシェア

pagetop