弁護士は逃げる婚約者を離したくない
「僕のおばあちゃんもこの街に住んどったんやで」

そう言った宇大に、
「えっ、そうなんですか?」

私は驚いて聞き返した。

「恵麻ちゃんのおばあちゃんの近所に住んどったんやで」

「マジか…」

仲がいいことは聞いていたけれど、同じ街に住んでいたうえにご近所さんだったと言うその事実に驚いた。

「確か、こっちに川があったかな…?」

そう言って歩き出した宇大の後を追うと、
「あっ…」

夢の中に出てきた川が見えてきた。

「さすがにベンチはもうなかったか」

そう言った宇大の顔を私は見た。

青灰色のその瞳と目があったとたんに、
「もしかして、夢の中に出てきた男の子はあなただったの…?」
と、私は聞いていた。
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