紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】

「いや、マッチも可愛いよ?」

「……心ないフォローありがとうございます」

「いやいやいや、フォローとかじゃなくてね?つーか心ないって、おい」

「だって初対面の時、比呂さん絶対思いましたよね?"恭加さんがどうしてこんなちんちくりんを……"って」

「……えっ、バレてた⁉︎」


……やっぱり。目が物語っていたもんね、あの時。

じとりと見やれば、驚いた顔の比呂さんと目が合ったけれど。


「……いや、でもね?今は本当に可愛いと思ってる、見た目も中身も」


その瞳を今度は優しげに細めて、しれっとお世辞を吐く。

さすが接客業を生業(なりわい)にしているだけある。


「アリガトウゴザイマス」

「お前、全然信じてねーな、それ」


棒読みでお礼を言えば、少し口を尖らせて拗ねた表情の比呂さん。


「だって、身の程は(わきま)えてますし」

「……お前なぁ、」

「……じゃあ今日はもう帰りますね。話、聞いてくれてありがとうございました、お兄さん」

「って、おいっ……」


くしゃっと前髪を掻いて何か言いたげな比呂さんを遮って、お暇する意を伝える。


「あと、また今度彩也子さんが来たら、彩也子さんの分、これで払っておいて下さい。今日、結局全部出してもらっちゃったので」

「えっ、ちょ、帰るならタクシー呼んでやるから待てって……!」

「大丈夫です、その辺で拾います!では、ごちそうさまでした!」


一気に畳み掛けて、今日彩也子さんにご馳走してもらった分くらいのお金をカウンターに置く。

そして引き止めようとする比呂さんを振り切って、私は逃げるように比呂さんのお店をあとにしたのだったーーー。


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