紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
スッキリと整った顔立ちにシルバーのメタルフレームが良く似合う加藤先輩は、うちの課の優秀な営業マンの1人で、私の2つ上。かつて佐原くんのOJTをしていた人だ。

珠理ちゃんや佐原くんの他に、業務以外でも私に気さくに話しかけてくれる奇特な人でもある。


「はは。深町さんでもボーッとすることあるんだ?今日は朝から忙しかったみたいだもんね。お疲れ様」

「あー、はは、加藤先輩も外回りお疲れ様です……」


まさかプライベートなことに気を取られてボーッとしてました、とは言えないから苦笑いを返すしかない。


「そうだ、深町さん、ミルクプリン好き?」

「?はい、好き、ですけど」

「じゃあこれ、良かったらお茶請けにどうぞ」


にこっと微笑んで、ぶら下げていたレジ袋から私もたまにコンビニで買うミルクプリンを差し出してくれる。


「えっ?」

「あ、プリンじゃお茶請けにならないかな。さっきコンビニでくじ引いたら当たったんだけど、実はすでに同じの買っててさ。さすがにオレも2つは食べられないし、だから貰ってくれると嬉しい、んだけど……」


そういえば今朝会社近くのコンビニにおにぎりを買いに行った時、700円以上購入でくじが引けるキャンペーンをやっていたっけ。

少し眉を下げてそう言われてしまえば、差し出されたプリンに手が伸びる。
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