「会いたい」でいっぱいになったなら
「俺、やっぱり美琴が好きだ。
美琴が明石さんの方を選んだとしても、俺は美琴が好きだ。
俺じゃダメか?俺にしとけ。
たくさん、美琴のこと甘やかすよ。
幸せにする。だから、俺を選んで」

「コウさん!」
私はコウさんの背中に手を回し、思いっきり抱きしめた。
「大好き!」

コウさんの胸の中で頭を上に向け、顔を見上げる。

コウさんと目が合う。

「コウさんのことが、好きです」



「・・・美琴・・・」
呟いたコウさんはその端正な顔に満面の笑みを浮かべて、

「美琴、好きだよ」
とぎゅうーっと抱きしめた。

「美琴!俺、今、めちゃくちゃ嬉しい!」

ぎゅーーーっと抱きしめられる。
「く、苦しいよお」

コウさんの強すぎる抱擁に、息ができない。
「あ、ごめん!」

と力を緩めたコウさんは私の顔を見下ろした。

目が合い、互いに微笑み合う。


チュッ。チュッ。

軽いついばむようなキスを二回して、見つめ合う。
コウさんの瞳からは、『大好き』ていう気持ちが溢れて伝わってくる。


「おかえり」
「ただいま」

「俺のところに戻ってきたんだよな?」
「なに言ってるの?ずっとコウさんのところにいるよ」

「美琴ー」
「大好き」
「俺も、大好きだ。すげえ、嬉しい」

大きな体にぎゅっと抱きしめられた私は、コウさんの香りに包まれてて、すごく幸せだと思った。



コウさんが大好き。


「ごほん」
通りすがりのおじさんに咳ばらいをされ、駅前で抱き合っていたことに気が付いて笑いあう。



そして、
「帰りますか」
「うん!」
と、私たちは手を繋いで帰った。




ただ、帰ったのはコウさんの家で、私の家に着いたのは翌日の早朝だった。
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