「会いたい」でいっぱいになったなら
花ちゃん青山さんの結婚パーティーは天気のいい土曜日に開かれた。

みんなと花ちゃんのところに行ってお祝いを言った後、フードコーナーへ行き、各々好きな料理を皿にとった。


「あ。見て」
友人が少し離れた窓際を指さす。
みんなが「なに?」「なに?」とその方向に目をやる。

「健と一緒にいる人、めちゃめちゃかっこいい!!」
「本当だ!」
ときゃいきゃい言い始めた。

そちらに目を向けると、健とコウさんのツーショットがあった。


何!? 
何事!?
コウさんと健って。
なに話してるんだろう。

気になるし、少し心配になる。


でもまあ、二人は仕事も一緒にしてるし、もともとサッカー絡みで気が合う二人なんだよ。
だから、一緒にいても何らおかしいことはない・・・んだけど。

あ。大笑いしてる。
何話してるんだろう。
やっぱり気になるううう。

と思いながらロゼワインを飲んだ。


「こんにちはー」
声に振り替えると3人組の男性がいた。

「新郎の高校時代の友人です」
という人たちから声をかけられた。

ほんの少し話をしたところで、高速で、コウさんがこちらに向かってやって来る。

「こんにちは。美琴のお友達?」
と言って、にこやかに私の横に立つ。

「うん。サークルの友達」
「こんにちは。磯ヶ谷紘一です」

「こ、こんにちはー」
友人たちはコウさんに釘付けになっている。

「えっと、お付き合いしているコウさんです。新郎のご友人さんです」

「「「「えええええええええ!!!」」」」

友人たちは、さっき『健と話していたイケメン』のコウさんが、突如目の前に現れて、その上私の彼氏だと聞いて驚きが隠せていない。

「叫びすぎ」
と笑いながら健が近づいてくる。
「コウさんも慌てすぎ」
と健が楽しそうに言って、高校時代の友人さんには「久しぶり」と声をかけている。

一緒に挨拶いこうと誘われてさつきに断りを入れると、
「今度ゆっっっくりと話を聞くから」
と睨まれた。



コウさんと手を繋いでゆっくりと新郎新婦のところへ向かう。

コウさんはニコニコしながら


「美琴、そのドレスすごく似合ってる。綺麗だよ」
と誉めてくれた。

「えへへ。ありがとう。なんだか照れちゃう」


「さっきさ、男共にナンパされてるから慌てた」
「え?おしゃべりしただけよ。ほとんど話してもなかったけど」

「無自覚かあ。恐いわあー」
「いやいや、本当に。『へい、彼女ー』とか言われてないし」

「そんなセリフ言うやついないからね」
「え?本当?」

「本当。ほんと危険だわ」
そういうと、コウさんは足取りを新郎新婦のところから逆の窓の方へ変えた。

「挨拶してからゆっくり渡したかったんだけど、先にしよう」
とガーデンスペースに連れていかれた。


向き合って立つと、
「手を出して」
と言われたので素直に両手を出した。

コウさんはクスリと笑うと、ポケットから小さな箱を取り出した。

「あ」

蓋を開けた中にあったのはアクアマリンのリングだった。
アクアマリンの両サイドに小さなダイヤモンドが1つずつ付いた細身のリング。
それは、デートの途中でふと立ち止まったジュエリーショップで見たものだった。

薬指にはめられてたリングのサイズはぴったりだった。
「きれー」

「ねえ、サイズどうしてわかったの?」
「美琴が寝てる間にこっそり測った。結構大変だったよ」
「あははは。すごい。ぴったりよ」

「このリングは婚約指輪のつもりで買ったんじゃないんだ。
でも次にプレゼントするときはそのつもりでいてね」

コウさんを見上げる。
コウさんは優しく私を見おろしている。

コウさんのジャケットに額をあてた。
コウさんは私の背中に両手を回して抱きしめた。

「美琴、愛してる」

とろけるような甘い声で言われてくらくらする。

「私も・・・私も愛してる」

照れながらも頑張って言う。

『愛してる』なんて言い方をしたのは初めてで、ものすごく恥ずかしい。


照れて顔が赤くなっているであろう私の唇に、ゆっくりと唇を重ねた。
とても長くてうっとりするようなキスをされる。






「きゃー――おめでとー――!」
「おおおお!」
「見せつけるねえ!」
「わあああ!」

みんなが拍手し、大騒ぎをする。
その声に驚く。

やばい。
ここが花ちゃんと青山さんの結婚パーティーだったことを忘れて思いっきり二人の世界に入ってしまった。


「主役を奪われた」
と花ちゃんと青山さんに揶揄われ、友人達に祝福される。





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