iDOLの恋人~好きになった人は超有名人でした~
え?誰だろう?

リオがぴくって耳を立てて玄関に突進していく。

「莉奈。」

そういってリビングに入ってきたのは、ふくれっ面のテオだった。
まだメイクも落としてなくて、撮影場からそのまま来たかのような装いだ。
リオが嬉しそうに足許にまとわりついていたけど、テオにとってはリオより怒りらしい。

「どうしたの?こんな時間に。明日は歌の撮影あるってジュリ言ってたけど…。」

「会いに来ちゃいけないの?」

「いや。そんなこと…。」

いけないなんてそんなことあるわけない。テオとはいつだって会いたい。
けど、明日のこと考えたら…。

「わたしはただ、身体も大事に…。」

「身体は莉奈といたら回復するから大丈夫。ただ、会いたかった。それだけだよ。」

テオは相変わらずふくれっ面で。ズンズンとわたしのほうに進んでくると、目の前で止まった。

「莉奈、立って。」

「え?う、うん。」

立ち上ったわたしをそのままガバっと抱きしめるテオ。
メイクと整髪料と香水のにおいがする。
やっぱりそのまま来たんだ。

「莉奈。仕事のにおいがする。」

「テオもだよ。」

顔をあげると、いつも雑誌やネットで見るテオのルックスがそこにある。目の前に。

すっごいドキドキする。

「なんかSEVEN EYESのテオに抱きしめられてるみたいでドキドキする。」

「は?」

テオがはてな顔をする。
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