競馬場で騎手に逆プロポーズしてしまいました。

「まず、毎日仕事帰りにカレのアパート行って、掃除洗濯風呂と食事の支度して帰りを待つって、やりすぎ」

……うっ。

「おはようからおやすみまで、1日100回ライムは送りすぎ。まるっきりホラーだわ」

グサッ!

「そのくせ、デートのたびにデートコースから自分のファッションやら髪型メイクまでカレに決めさせようって、それじゃアナタらしさないでしょ」

……ぐっ!

「それで、相手に合わせるあまりカレに何を言われても従うだけ……って、そりゃぶっちゃけ人形と変わらんわ。フラレたの分かるわー」

指折り数えながらズバズバ言う先輩の指摘に、私の精神的ダメージはヤバいことに……。

「……すみません、もうライフが0(ゼロ)なんですけど」

居酒屋のテーブルに顔を伏せて呟けば、ビールジョッキ片手にガハハ!と大口開けて豪快な笑い声を上げる由良先輩……。外見は美人なのに中身はおっさん仕様。仕事帰りにたまたま寄った居酒屋で偶然相席になって以来、週一のペースで呑む仲になって3年。今や気のおけない友人だ。

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