極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「敬也、君」

駆け寄ってきて私の足に抱きついた男の子の名前を呼んだ。

困ったぞ。
今ここに敬也君がいるってことは、

「こんにちわ」
「こ、こんにちわ」

やはり真理愛さんも一緒だ。

ニコニコと笑いながら、私と私が手にするスーツケースを見る真理愛さん。
マズイ、絶対に気づかれた。

「あ、あの・・・えっと・・・」
どう言いつくろえばこの場を逃げられるのか、咄嗟には浮かんでもこない。

「敬也がね、電車好きで時々見に来るんですよ」
「へー」

そう言えば、今日も電車のキャラクターがプリントされたTシャツを着ている。
男の子ってそういうものが好きなのね。

「ちなみにお兄ちゃんは戦隊ものが好きだったらしいです。今でも病院にはお兄ちゃんが遊んでいたおもちゃや本が残っていますから」
「ふーん」

太朗さんが戦隊ヒーローって、かわいいな。
お腹の子がもし男の子なら同じように遊ぶのかしら。

「そうだ、この先におすすめのフルーツパーラーがあるんです。季節のパフェが絶品なんですが、行きません?」
「あぁー」
できればこの場から逃げ出したいのだが・・・

「パフェ行くっ」
敬也君が答えてしまった。

仕方ない、私もお供します。
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