極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「その人のこと、気になるんでしょ?」
「うん」
素敵な人だったもの。

「じゃあなんでもっと積極的に行かないのよ」
「だって・・・」

私の子供の頃からの夢は自立すること。
仕事を持って、自分の力で生きていくこと。
大学卒業後大手商社に就職した私は、会社に隠れてバイトまでしながら必死に貯金をした。
まずはお金を貯める。そのお金をもとに小さくてもいいから自分の会社を持って生活する。そのために必死だった。
お陰で、恋愛らしい恋愛もできていない。
だからなのかな、男の人に積極的になることができない。

「泉美さんこんにちわ」
「ああ、先生。ご無沙汰しています」
パーティー会場の隅で飲んでいた私たちに気づき声をかけてきた中年男性は、泉美の反応からして旦那さんの仕事仲間みたい。

今日は泉美の旦那さんが顧問弁護士を務める企業の新しいホテル建設を記念したパーティー。関係者をはじめ多くの招待客が来るから一緒に行こうと泉美に誘われて私も来た。
もちろん建物は立派で食事も豪華だけれど、雰囲気にのまれ気後れしてしまった私達は壁の花になりつつある。

「私ちょっと挨拶に行ってくるわね」
「うん」

知り合いを見つけたらしい泉美は、グラスを手に壁から離れて行った。
< 21 / 199 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop