極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません
「僕は美貴さんが好きです。じゃなければ、会って間もない人と関係を持ったりしない。美貴さんだってそうじゃないの?」
「それは・・・」

確かにそうだけれど、ここで頷けば太郎さんに好意があるって認めることになる。
そんな事すれば、太郎さんはすぐに「付き合いましょう」とか、下手すると「結婚を」なんて言い出しかねない。
それは避けたい。

「短い時間だけれど美貴さんを見ていて、いい加減な気持ちで男の人との関係を持つ人とは思えなかった」

医者なんて人種は、結局頭がいい人ばかりだ。
当然弁もたつだろうし、私なんかがいくら言ってもかなうはずがない。
そうなると方法は一つしかなくて、

「私も太郎さんのこと好いと思いましたよ。少なくともあの晩はあなたに惹かれました。でも、それで付き合おうとか言われても困るんです。私には好きな人がいますから」
「美貴・・さん?」

口を半開きにして驚いたように見る太郎さんの視線に耐えられなくて、私は目をそらした。
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