迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

それはどこまでも追いかけて(三)


「……」


 後者と考えた私は先ほどのお供え物を取り払い、代わりに一冊のエロ本を置く。

 自分で言うのもなんだが、これを購入するのにどれだけの勇気がいったことか。

 この小さな町では本屋は駅前の個人店しかないため、わざわざ四つ先の町まで電車で行き、女性店員さんなのを確認してから購入したのだ。


「シン、これならいい?」


 すると今まで誰もいなかった空間にシンの姿がある。

 よくある、どろんと煙がではなく、まるで光の屈折などで見えていなかっただけで、初めからそこにいたように。


「シン」

「おい千夏、この前のアレは何なんだよ」


 感動の再開とはほど遠く、シンはやや怒っているようだった。

 灰色の大きな瞳が、明らかに不満を訴えている。


「えー、アレってなんのことだっけ?」

「パンツだよ、パンツ。なんだよ、あの白い木綿のデカパン。おかしいだろ、今どき小学生でもあんな無地のパンツなんてはくかよ」

「やだシン、もしかしてロリコン?」

「ちっがーう」

「だって小学生のパンツを知ってるあたり、やっぱり……」

「千夏、おまえこそそうやって話をすり替える気だろう」


 バレてたか。

 この前お供えをする時に、やはり自分のパンツを持って行くのは恥ずかしかったため、おばあちゃんのパンツを供えてみたのだ。

 怒るかなとは思っていたが、さすがにおばあちゃんのパンツでは無理があったか。
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