迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

道祖神(五)


 しかし道祖神はそれ以上答えてはくれなかった。

 でももしその仮説が当たっているとしたら、見ないというのは私が選択したと言うことになる。



「ん-、そんなことした覚えはないんだけどなぁ。でも無自覚ということもあるのか」



 ただ考えても無自覚ならば、どうにもならないだろう。

 何かのきっかけがあれば、別かもしれないが。



「さ、帰ろう……」



 服の裾の土を払い、私は立ち上がる。



「今日はありがとうございました」



 きちんとお礼を述べると、再び道祖神と目が合った。



「おまえさんは関の一族なんだから、本能で嫌なもんは分かるようになっているさ」

「嫌なものか……。うん、本当に今日はありがとうございました」

「お供えは、塩大福でよいぞ」



 どこの神様も、お供え物は強要する方式になっているのだろうか。

 まだエロ本や購入困難なものよりかは全然大丈夫だけど。



「次来る時に買ってきますね」



 その横顔はどこか嬉しそうに見えた。

 どうせ友達もいない私にはちょうどいい話し相手だろうと、先ほどまでの胸のつかえは少し軽くなっていた。
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