迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

地に残る未練(十五)


 彼から地図を受け取り、その場で広げる。

 この前の道を挟んで川へと進む方角に、さなちゃんと同じ名字の家があった。

 おそらくここで間違いないだろう。

 あの重い自転車さえ動けば、10分もかからず着くだろう。

 動けば、の話であるのだが。



「場所分かったから、これ、返すね」

「……で、どこに行く気だったんだ?」

「え。ほら、迷子って」

「だれが、迷子なんだ。おまえ、そんなに行くようなところもないだろ」

「ま、迷子を届けるのよ」



 そう言いつつ、自然と自転車のある方角を見る。

 時間がないのに、このまま付き合ってなどいられない。



「迷子を連れたやつが、迷子になると困るからな。おれもついて行く」

「いやいやいやいや、大丈夫ですよ。一人じゃないし」
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