迷信を守らず怪異に遭遇し、必死に抵抗していたら自称お狐様に助けてもらえました。しかし払う対価が、ややエロい件についてはどうすればいいのでしょう。

交差する想い(二)


 シンが私の肩を叩きながら、声を出して笑っている。

 私の兄ポジションを取り合っているのかと思いきや、どうやらこれは逆のようだ。


「そんなに、私の兄ポジション嫌なんですか?」

「あはははは。や、やめてやれよ、千夏。ああ、苦しい。こんなに笑ったのは久しぶりだ」

「シンも、なんでそんなに笑っているのよ。って、そんなことより急がないと日が暮れちゃう。まずはさなちゃんのおうちへ行こう」


 シンの横に停めてある自転車に手をかける。

 先ほどまであれだけ重かった自転車は、まるで動くことを許可されたように普通の重さだ。

 これなら、私が圧してもそれほど時間はかからないだろう。


「……おれが押すから、代われ。お前のスピードでは、日が暮れる方が先だ。なにをするつもりかは知らないが、関わった以上は最後まで見届ける義務があるからな」

「くくく。さっすがだなぁ、兄の鏡だ」

「そういうおまえは、契約していないのならば、いる必要性はないと思うが?」
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