4番目の彼女
 ステージでは、踊る子供たちとリズムに合わせて踊りながら大きな筆を滑らせ文字を描いていく書道パフォーマンス。きっと舞台袖で見ているであろう徹志くんを探すが見つからない。

 舞台は暗くなり、レーザービームのような照明が派手に動きまわり、スポットライトが一筋の光を放つ。そこにひときわ大きな歓声と共に袴姿の男性が箒のように大きな筆をもって舞い降りた。

──彼だ。

 四つ打ちのリズムに合わせて軽快な足さばきのダンスが繰り広げられ、いつの間にか真っ白だったパネルに墨が打ち付けられていく。
 その圧倒的な力づよい存在感に観客も、もちろん私も釘付けだった。


 そうして、そこに描かれた文字は……『希』
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