今夜、私は惑わされる。
「え?」



本当に突然だった。

 
会うのやめよう、そう聞いた瞬間、頭の中がごちゃごちゃになったような気がした。



「ななのこと、もう、巻き込みたくないんだ」



そう言う、浅羽くんはとても苦しそうな顔をしてい て、『私は大丈夫だよ』そんな嘘の言葉さえも出てこない。


実際は全然、大丈夫じゃない。


こんな怖い経験をしたくない。


でも、浅羽くんと、会えなくなるのは絶対に嫌だ。


嫌なのに、『嫌』という一言さえも一切口から出てこなかった。



「なな、送っていく」



ただ、浅羽くんの大きな背中についてくいくことしか出来なかった。








次の日、浅羽くんを待ち続けてもただ、時間が過ぎていくだけだった。

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