ライム〜あの日の先へ
光英大学病院の面会時間は14時からだ。
現在時計はちょうど14時を指している。面会受付のカウンターには列が出来ていた。


零次はスーツ姿でエントランスロビーのソファに座り込み、その列をぼんやりと眺めていた。

午前中は鈴子のことが頭から離れず、仕事も手につかなかった。
確実に鈴子に会えるとしたら、プリスクールより子どもが入院した病院だと考え、勢い余って病院へ来てしまった。
だが、今、鈴子がいるかはわからない。入院している子どもから見れば、昨日あったばかりの知らない男がいきなり面会にこられても困るだろう。

そう思ったら、ここから動けなくなっていた。


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