ライム〜あの日の先へ
「ママ、だいじょうぶ?」

熱があると聞いて凛が駆け寄ってくる。その小さな手が鈴子のおでこに触れる。

「ほんとだ。あつい。せんせい、どうしよう。ママ、おねつある」
「りんちゃんのパパは?迎えに来れない?」
「パパは、たかいところにいるの。だからこれない。いっせいくんはおしごとだし」
「お家までは車?」
「ううん。いつもあるいてくる」
「そうか……りんちゃんのお家までの道、教えてくれるかな。車で送るから」

鈴子が熱でぼうっとしている間に、凛と水上の間でそんな会話がかわされている。

「大丈夫です。ハルトくん疲れていると思いますので、早く帰ってあげてください」
「病人置いて帰るなんて出来ません」
「家族に連絡してみます。ダメならタクシー呼びますから」
「……わかりました。では、ご家族に電話してみてください。もしすぐに迎えに来れないようでしたら、送らせてください」

医師としての使命感なのだろうか。水上は意外と頑固だ。

仕方なく、鈴子は一成に電話をかけた。






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