ライム〜あの日の先へ
第五章 あの日の先へ

父親になるには

あの日から毎日のように零次はプレゼントを送った。凛のおもちゃやら新しい洋服やら、部屋をプレゼントで埋め尽くして自分のことを好きになって欲しかった。


『プレゼントはおたんじょうびにもらうものだよ。いつももらっていたらとくべつじゃない。
れいじくん、わかった?』


一週間にわたるプレゼント攻めの後。
初めてかかってきた凛からの電話で喜んでいた零次は、その大人びた第一声にしょげてしまう。

「りんちゃんが喜ぶと思ったんだよ……ごめんね。ほかになにかほしいものある?」
『プレゼントなんかより、れいじくんにあいたいよ。いっしょにまたライムジュースつくろ?ママげんきになったよ』

会いたいと言われてしまえば、落ち込んだ気持ちもあっという間に晴れてしまう。我ながら単純だ。

「俺もりんちゃんにあいたいな。
そうだ、明日、ハルトのママとお仕事なんだ。その後、プリスクールに迎えに行くよ。鈴子とりんちゃんと三人でご飯でもどう?」
『ほんと!?わーい、いくいく!あのね、りん、ハンバーグすきなの!ロスモスのおこさまハンバーグたべたい!
いっせいくんは?いっせいくんもいっしょがいい』
「一成のお仕事の都合がついたらな」

スマホから聞こえる大きな凛の声に、向かいの席に座っていた一成が思わず吹き出して笑っている。

三人だけと思っていたが、一成もと言われてしまうと零次はまたショックを受ける。
凛にとって一成が父親のような立場なのだと改めて実感させられる。

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