ライム〜あの日の先へ
「じゃあ、こうしようか。俺に寄りかかって。あんまり痛かったら、またおんぶもするよ?」

零次が手を繋いでくれた。しかも体を寄せて支えてくれる。
不意打ちに鈴子はドキッとした。
一瞬で痛みなんて吹き飛ぶ。

「わ、楽だ。ありがとう、零次くん!」

初めて零次から手を繋いでくれた。しかも零次の体温が感じられるほどの距離だ。
それが嬉しくて、足の痛みなんて気にもならなくなった。


「カップルに見えちゃうかな?」
「一成の面前で鈴子ちゃんとスキンシップできるなんて、男冥利に尽きるよ」
「零次、お前、鈴子相手に変な気起こすなよ」


鈴子は心臓が飛び出しそうなほどにドキドキしているのに。零次は余裕たっぷりだ。

多分、鈴子を女性として見ていないのだろう。

世話の焼ける親友の妹。それだけ。

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