ライム〜あの日の先へ

本命は御令嬢


一成は同僚や取引先に絶対の信頼がある。立場的には零次の部下となるが、ロサンゼルスでは先輩で、仕事にも精通していた。

零次のことも、預かりものとしてではなく本気で相手してくれる。
ほかの社員たちは零次が社長の息子だからと腫れ物を触るように接してくる。なるべく零次が傷つかないように、そして自分たちの保身のために。先手を打たれて何も仕事をさせてもらえなかった。

そんな中で一成だけだった。零次に失敗から成功を導くアドバイスをくれ、仕事のノウハウを教えてくれたのは。

かつての親友は、今も親友のままだった。

そして、一成と鈴子は昔と変わらず仲がいい。お互いに支え合いながら懸命に生きている。
かつての零次は二人がうらやましくて、そばで疑似兄妹を体験させてもらっていた頃が懐かしい。

だが、一成も零次ももう社会人で、鈴子も二十歳を超えた大人の女性で、昔のように無邪気にそばにいられない。

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