社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
だが、ヘブンズハウスの前まで来た千景の前には、いきなり人影が立ちはだかっていた。
派手で可愛い服装をした若い娘だ。
くるんとした内巻きボブに茶色い瞳が印象的だ。
「このっ、泥棒猫っ」
と叫んで、彼女はいなくなる。
……泥棒猫。
千景は周囲を見回してみた。
いないな、猫。
部屋に戻り、ちょっぴり写仏をして寝た。
夢の中、千景は将臣の母の屋敷を探し歩いていた。
白、黒、グレー、白……
あと一匹見つからないな、と思いながら、庭に出ると黄金の茶室があった。