社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
その頃、八十島は急ぎの用事で、すぐ側の郵便局に行こうとしていた。
だが、いきなり目の前に立ちはだかった派手な色柄のものがいた。
驚いても顔に出ない性分なので、八十島は無表情に立ち止まる。
すると、その飛び出してきた女性、九条真実は行く手を塞ぐように両手を広げて言った。
「馬の方っ、あなたの住所と電話番号を教えてくださいっ」
「……いや、だから、その勢いで、直接、社長に訊いてください」