社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「遅い時間にすみませんでした」
将臣は、まださりげなく最後の猫を探しながら玄関に向かう。
こいつ、方向音痴っぽいから、遠回りしてても気づかないだろうと思いながら。
グレーのふかふか猫を抱いた千景は猫たちを引き連れて歩きながら、辺りを見回していた。
「……最後の猫ちゃんいませんね」
お前も俺の嫁になる呪いの猫を探してくれていたのか。
嫁になりたいのかっ、と思ったが。
おそらく、ただ、まだ見ぬ猫を見たいだけなのだろう。