社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
そのあと、将臣は武者小路に会った。
武者小路にも、
「なに溜息ついてんだ」
と言われ、同じように話すと、
「あいつからのアクション待っててもなにも起こらないぞ。
仕事でこそ、ごちゃごちゃ妙な提案してくるが。
恋愛に関してはたぶん、向こうからはなにも言ってこないぞ」
と言う。
さすが仕事でいつも側にいるだけのことはあり。
千景をよく見ているようだった。
「いつもの喫茶店に呼び出せよ。
美味いもの食って、なごんだところで、これからもお前とこうして過ごしたいとか言えばいいだろ」
それ、お前が言いたかったことでは、と目線をそらし、照れたように教えてくれる武者小路に、しんみりとする。
ありがとう、武者小路。
……まあ、俺も玉砕しそうなんだが。
「断ってきそうだったら、菓子でも与えとけ」
と武者小路が言ったとき、
「あっ、武者小路さーんっ」
と可愛く手を振ってくる坂巻が廊下の向こうに現れた。
「ラブラブだな……」