社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 


 そのあと、将臣は武者小路に会った。

 武者小路にも、
「なに溜息ついてんだ」
と言われ、同じように話すと、

「あいつからのアクション待っててもなにも起こらないぞ。
 仕事でこそ、ごちゃごちゃ妙な提案してくるが。

 恋愛に関してはたぶん、向こうからはなにも言ってこないぞ」
と言う。

 さすが仕事でいつも側にいるだけのことはあり。
 千景をよく見ているようだった。

「いつもの喫茶店に呼び出せよ。
 美味いもの食って、なごんだところで、これからもお前とこうして過ごしたいとか言えばいいだろ」

 それ、お前が言いたかったことでは、と目線をそらし、照れたように教えてくれる武者小路に、しんみりとする。

 ありがとう、武者小路。
 ……まあ、俺も玉砕しそうなんだが。

「断ってきそうだったら、菓子でも与えとけ」
と武者小路が言ったとき、

「あっ、武者小路さーんっ」
と可愛く手を振ってくる坂巻が廊下の向こうに現れた。

「ラブラブだな……」
< 434 / 477 >

この作品をシェア

pagetop