たとえ、この恋が罪だとしても
 建物の内部や庭園では、すでに大勢のスタッフさんがもくもくと準備を進めていた。

 撮影のアシスタントも5,6人いる。
 安西さんが講師をしている写真学校の生徒さんだと紹介された。

 そのほかにもスタイリスト、雑誌のエディター、ヘアアーティストなど、手渡される名刺には横文字の職業がこれでもかと並んでいた。

 紗加さんや安西さんの話だと、錚々(そうそう)たるメンバーらしい。

 この人たちにモデルがこんな素人で大丈夫? と内心で思われているんじゃないかと気弱な心がまた頭をもたげてくる。

 だめだめ、しっかりしなきゃ。

「ああ、こんなところにいたのね」
 紗加さんが30代後半ぐらいの男性を連れてわたしのところにやってきた。

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