たとえ、この恋が罪だとしても
 でも興奮が収まったわたしの身体を満たしていたのは、満ちたりた快感などではなかった。

 怖れだった。

 自分はどこまで堕落してしまうのだろう、という怖れ。

 俊一さんはわたしの髪をゆっくり撫でながら、額や頬に口づけを降らせた。

 わたしは俊一さんにしがみついた。

 わたしをあなたに縛りつけておいて、けっして離さないで、と伝えようと。

 「やっぱり今日はいつもと違うな。どうしたの? 最近、忙しくて会えなかったから? 寂しい思いをさせてすまなかった」

 例年でさえ年末は忙しいのに、転勤のための準備や引き継ぎで、俊一さんは寝る間もないほど忙しい日々を送っていた。

 プロポーズされたあと、ふたりでこうして過ごせたのはほんの2日ほどしかなかった。

 今日は1月3日。多忙の俊一さんも三が日だけはなんとか休みが取れた。

 でも明日はもう仕事はじめ。
 休み最後の日を俊一さんの部屋で過ごしていた。
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