さあ、離婚しましょう  始めましょう
「宗次郎のことは一度も好きじゃないって本当?」
静かに問いかけられ、私はコクっと頷いた。

「じゃあ、そのほかの男が好きだった?」
訳の分からない問いかけに、私は顔を歪めて否定する。

「そんな人いない」

「じゃあ、誰が好きだった?」
直球で聞かれたその問いに、泣いて思考が回っていなかったのかもしれない。

「尋人がずっと好……」
そこまで言うと、その後の言葉は言わせてもらえなかった。言葉が出ないほどギュッと抱きしめられたのだ。

「俺のせいだな……」
少し震えた声にも聞こえたその声のあと、尋人は大きくため息をついた。
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