さあ、離婚しましょう  始めましょう

ゆっくりと鍵を開け「おじゃまします」と言えば、誰もいないシーンと静まり返った部屋に声だけが響いた。
電気をつけてみれば、まったく私がいた時と変わっていないが、少しだけ雑然とした雰囲気もあった。

そしてキッチンに行けば、ほとんど使用されていないようで冷蔵庫の中はほとんどアルコールしかなく私はため息をついた。

「やっぱり買ってきて正解」
独り言ちながら買ってきた食材を冷蔵庫に入れ、買い物袋から取り出したプリンに自分の名前と尋人の名前を書く。

「あっ……」
それは同居時代の癖で、一つしかない冷蔵庫でわかるようにいていたルールだ。
冷蔵庫の横にマジックペンを元に戻すと、プリンを冷蔵庫にしまった。
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