さあ、離婚しましょう  始めましょう

私は手を拭き急いで玄関へと向かう。
「おかえり」

照れてしまし少し小声になってしまった私に、尋人は満面の笑みを浮かべた。

「いいな、こうして迎えてもらうの」

「結婚してた時もあるでしょ?」
照れ隠しのように言えば、尋人は首を振った。

「全然違うだろ、気持ちが」
そう言って私の頬に唇を落とす。

「こんなこともできなかったし。ずっとしたかったけど」
私はその甘さに自分の頬を手で触れた。
「これ、お土産。弥生が好きなプリン」

「私も買ってきたよ。そして名前まで書いちゃった」
お互い一瞬きょとんとした後、笑いあった。
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