さあ、離婚しましょう  始めましょう

「謝るのは俺だよ。弟さんが怒るのは当然だ」
「え?」
意外な言葉に驚いて尋人を見ると、彼も私を見た。

「勝手に誤解して嫌な態度取ったし、嫉妬しまくりだし……。俺かっこ悪いよな……」

嫉妬?

初めて尋人が怒っているのではないと知り、私は目をパチパチしてしまう。
「てっきり、弥生が他の男に声をかけられてるって思って。まだスタートラインすら立ってないのに、もう終わるのかと思ったらいてもいられなかった」
最後は呟くように言われて、私はキュッと心臓が締め付けられる気がした。

今まで会社で女の子に声をかけられても、尋人は余裕の表情で笑顔を崩すことなどなかった。
それなのに今は私の前でこんな顔を見せてくれている。
信じてもいいのだろうか?
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