ここにいるよ
こんな有り得ない事を、俺は必死に理解しようとした。




空はきっと‥




この世にやり残した事があったんだ。




だからこうやって戻ってきた。




なぜだか分からないけど




俺にはそんな気がした。




空は自分が死んだ事を分かっていない。



むしろ混乱している。




今の俺は‥嘘しかつけない。




空のいない一ヶ月、俺の心はからっぽだった。




もう一度会える事を、心から願った。




その願いが叶ったんだ。




もう‥どこにも行かせたくない。




こんないい天気の中、影のない空を見て俺はそう思った。




影のない空‥




俺は悪い夢でも見ているのか‥?




違う。




空は死んだんだ。




だから影がない。


ただそれだけ。




空はまだ気付いていない。


でもここにいれば‥




ここにいれば自分に影がない事に気付いてしまう。




‥ダメだ!




「ねぇ‥家が見つかるまで、いていい?」




空は影がない事にまだ気付いていない。




「もちろん。遠慮すんなよ。」




家で話す方が俺にとっても都合がよかった。
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