青春の備忘録

12月──上原と田川の急接近

 「当機は、まもなく着陸体制に入ります。テーブル、肘掛け、背もたれなどを元の位置にお戻しください。化粧室のご利用は……」
 12月に入ってすぐ、修学旅行が始まった。
 東京へ向かう飛行機ももうすぐ着陸、いよいよ修学旅行のスタートだ。
 空港に着いてすぐ、手荷物受取所へ向かう。
 大きめのキャリーケースを引き上げて受け取り所の外に出た。
 つい3ヶ月前に来たような東京だが、今回は友達と楽しむ東京。
 普段家族と来ている分、少しワクワクした。
 バスで観光をしながら移動する。
 このときはただ何も考えず、目の前に見える景色を見ていた。
 修学旅行といえば生徒の間で『イベント』が起こって当然というほど、高校生活でも一番の行事だと思うが、私はそんなことは一切頭になく、ただ窓から見える建物を眺めていた。
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