青春の備忘録
 この日が全ての始まりだった。
 私は先輩の集団をかき分けるより同級生をかき分ける方がまだいいと思った。
 その後毎日向かい側の教室の方に通うのだが、徐々に声をかけられることが増えてきた。
 ある日、いつものように雑巾を洗いに行くと、
 「あの、何年生ですか」
 と1人の男子生徒から話しかけられた。
 「1年です」
 私はただあるがままを答えたが、内心、校章や中履きを見て分かるだろうにと思った節があった。
 高校では学年ごとに校章のバッジと中履きの色が違っていて、それらを見れば一眼で学年がわかるようになっていた。
 挨拶をされれば挨拶を返し、何か話しかけられれば答えていたが、それ以上それ以下の間柄である。
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