青春の備忘録
高校3年生──大好きなあの人

4月──偶然か否か

 学年が新しくなり、クラス替えが行われた。
 クラス替えと言っても、うちのクラスには理系から文系へ転向した人が数名入ってきただけだが。
 驚くべきは、その教室の場所だった。
 まさかとは思ったが、3年1組と3年8組が、階段一つを挟んで隣の教室になってしまった。
 当然だが、3年生になってから私と8組の彼らとの接触は格段に増えることになる。
 肝心の勉強については、
 「今年は、最高学年としての自覚も持ちつつ、本格的に受験を頑張りましょう」
 という具合で、担任は偶然か必然か、昨年度と同じ国語の先生である。
 親身な女性の先生だ。
 始業式の翌日から授業が始まるが、ここで驚きの出来事が起こる。
 「あの先生誰だろう?」
 隣の席に座っていた生徒から話しかけられる。
 これまで現代社会を担当していた先生が退職したことで、ここになって新しい先生が担当になった。
 普段このクラスとは関わりのないタイプの先生なので皆、見たことない先生だ、誰だろうとざわざわとしていたが、私はこの教師を知っている。
 「はい、今年度の現社を担当します大山です。よろしくお願いします」
 教壇に立ったその人は現社担当の教員であり、野球部の監督だ。
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